アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

イギリス、湖水地方の山で遭難。歩いても歩いても羊事件【旅先で本気でヒヤッとした事件簿⑤】

久しぶりの【事件簿】シリーズですが、今回はかなりしょぼい事件です。

イギリスで一人旅の楽しさを覚えてしまったあの卒業旅行から数年間、1人でイギリスに行きたい!という気持ちに駆られて、2度目のイギリスへと1人で上陸した時のこと。まだ1人旅に慣れていない20代の頃にさかのぼります。

ロンドンでユアン・マクレガーのまつげの美しさを目にする

 

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卒業旅行の時と違って、今度は計画的に、ビッグベンやリージェントストリートとかを乗りたいだけロンドンバスに乗りまくり、調子付いていた私は、この旅の目玉イベント、ユアン・マクレガーの舞台をピカデリーで見てきました。

「Guys and Dolls」というミュージカルで、もう、ユアンの美しさたるや。

映画のムーランルージュでの甘い歌声も健在。チャームポイントのほくろもしっかり肉眼で見て、「顔の産毛、まつげまで金髪や!」と驚いたものです。相手役が、昔見ていた大好きなアリーMyラブのエレイン役の人でコレもテンションが上がり、日本人が1人イギリス人ギャルに混ざって出待ちまでして、「日本から来たよ、ファーラウェイ!ロングフライト!」と意味不明の英語で話し、握手してもらい大興奮の夜でした。

UKロックファンらしく過ごすロンドン

UKロックファンの私は、Radioheadを聞きながらロンドンを歩いたり、どんどん調子に乗っていきます。Beatlesのアビーロードに行きそこで知り合ったブラジル人とあのジャケット風に横断歩道に並んで写真を撮ってはしゃぐということもきちんと行いました。意外と車がビュンビュン通るのに驚きつつ。ピストルズがBGMのパブでフィッシュアンドチップスを食べながら、自分はロンドン娘であると錯覚していきます。

 

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こういうところの日本語ってほんまに恥。

Abbey Road

Abbey Road

  • ビートルズ
  • ロック
  • ¥2000

よく知らないのにピーターラビットの家に行く

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もう完全に自称ロンドン娘になった私は、「ロンドンより田舎いっちゃう?」みたいなノリで湖水地方の、よく知りもしないピーターラビットの作者の家に行くことにします。(その後、ユアンが出た映画「ミス・ポター」を見て、「あー、ここ!」と興奮しました)

湖水地方のウィンダミア湖でボートに乗ったり、「何か、イギリスちょろいな!」「一人旅ちょろいな!」って完全に調子に乗っていました。計画していたことも、思いつきで動いたこともすべてが順調で、「めっちゃ、ちょろいなー一人旅!」ってそれこそ口に出しながら楽しんでいたように思います。

調子に乗って予定に無かった山登りをする

ウィンダミア湖もある程度観光しつくしたところ、駅前に山がありました。看板も出ていて、それほど険しくもなさそうだったので、頂上から湖を見下ろして湖水地方のフィナーレにしようと思い、駅のロッカーに荷物を預けて山に登ることにしました。

大雨が急に降り出し霧に包まれる

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登り始めて30分くらいして、もう嘘みたいに雲行きが怪しくなり、大雨が急に降り出しました。

「しまった、傘は駅のロッカーにいれちゃったな…」と後悔。「降りようかな」「もう少しで着くかな」と悩みながらも登っていると、山ごと霧に包まれてしまい視界不良となりました。

霧に、こんなにも身近に丸ごと包み込まれる体験は初めてで、「霧のロンドンとは言うけど玉手箱状態やな」と、急に怖くなってきました。何も見えなくなったので、頂上からも湖が見えるはずも無いと諦め、山を降りることにしました。

そこでなぜか、来た道ではなく、近道と自分が思った道を下ることにしました。それが間違いの始まりで、歩いても歩いても道らしい道になっていかず、こんなに下っているのに何で着かないんだろうと不安、いや恐怖感でいっぱいになって行きます。

「着いた!」と思って進んでみると山の途中の原っぱのようなところで、羊しかいない。もう少し下って見ると、また原っぱに羊。霧なのか羊なのか分からない状態で羊のフンは踏みまくるし、山から永遠におりられない気がしてきて泣きべそをかき始めました。

「登るんじゃなかった」「1人で来るんじゃなかった」「地球上の誰1人として、私がこの山にいることを知らない。もう終わりや…。」「また、羊の場所や!」まるで村上春樹の世界。

そのうち、羊の原っぱにおじさんを見つけ、助けてもらい、正しい道を教えてもらい、無事山を降りることができた時、汗なのか雨なのか涙なのか分からないけど全身がずぶぬれで汚く、そこにロンドン娘などはいませんでした…。

この時に学んだ教訓

とにかく調子に乗っていました。フワフワしてたし、何もかも根拠なく「楽勝!」と思っていた慢心、油断がありました。雨と霧で山に身軽な格好で登るなんて命知らずです。気を引き締めないといけないと心から思いました。

それ以後も、旅先でまるでそこにずっと住んでいる人かのようにふるまう癖は相変わらずですが、調子に乗り続けないように気をつけています。あの霧の山の恐怖がそうさせてくれています。

それと、霧の山でとにかく感じたのが、「自分がここにいることを誰も知らない」という恐怖感です。一人旅で気ままに旅しているとどうしてもそういうことになります。もしも行方不明になっても、なるべくどこで失踪したか分かるようにヒントを残しておかねばなりません。宿の人に行き先を告げておくとか、駅員に印象付けておくとか。この旅の後はそんなことをよく考えていました。

今は、当時と違って、ネット環境が整っているので、SNSなどで「霧の山なう」とかつぶやいておけばいいですね。その点が以前よりすごく安心です。

この記事を書いているときに発覚したこと

私が霧に包まれた山がなんという山だったか、標高はどのくらいだったか、10年以上の時を経て、調べてみたところ衝撃の事実が判明しました。

「山」と書いてきましたが、「オレストヘッド」という標高239mの「丘」でした。「山登り」と思っていたのに、「20分の散歩道」とか「ウォーキング」と表現されています。人間の恐怖ってこんなにも深いものだと知りました。一人旅に慣れてなくて、実は恐怖感でいっぱいだった20代の私がかわいく思えます。(今もビビリですが。)

でも、看板が少なくて天気も崩れやすく迷子になりやすいという口コミも見かけました。まあ、そういう「山」のような「丘」です。ウィンダミア湖に行かれたときは、みなさんお気をつけくださいね。

 

 一人旅への想いに火をつけたあの卒業旅行

 【旅先で本気でヒヤッとした事件簿シリーズ】

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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