先日、朝日を見るおすすめスポットで、ダージリンを挙げたのをきっかけに、ダージリンへの想いがこみ上げてきました。そもそもダージリンがインドってあまり知られていないのでは?
前々から、ダージリンについて、
めっちゃ良いところやから、みんな、ちゃんと知ってくれー!!
と強く思っていたので、ブログに書くことにしました。
映画「ダージリン急行」が与えた大いなる誤解
私の好きな映画監督ウェス・アンダーソンのオススメ作品「ダージリン急行(原題:Darjeeling limited)」(2007年)。
父の死をきっかけに、大人になりきれない3人の男兄弟がインドを旅する話。
エイドリアン・ブロディのピアニスト感を消した演技、ルイ・ヴィトンが全面協力した特注の旅行カバン、映像、BGM、エンディングの「おおシャンゼリゼ」などのセンスの良さがさすがウェス・アンダーソン!といったところ。映画のトレーラーを、ご覧ください。
インドの列車「ダージリン急行」に乗って、砂漠を走り、インドのカルチャーもいい感じです。
そこで、私が声を大にして言いたいこと。
そこは、ダージリンと違う!
砂漠なんかないから!
むしろヒマラヤやから!
ダージリンにいる人って、インド、インドしてなくて、どちらかと言うとチベット系の顔やし。
ということ。この映画を見て、素敵!ダージリン急行に乗ってダージリンを旅したい!と思う人がいたらどうしよう…とハラハラします。
まず、ダージリン急行という列車は実際には、なく(ダージリン・メイルという路線はありますが、走ってるところがまず全然違う)、インドの列車の中は、もう少し(人によって「少し」の価値観はそれぞれです)汚いです。 映画のロケ地は、恐らく、インドのラジャスタン地方でしょう。映画を見たところ、タール砂漠やジョードプルが舞台ですね。そこを間違えないようにしてもらいたいです。
ラジャスタン地方は、私が旅したインドの中でも特にカラフルな地域。ピンクシティ、ブルーシティもあり、アクセサリーや、サリーも派手な気がしました。素敵な場所ではあります。
しかし、ダージリンとは全然世界観が違います。
ジョードプルとダージリンの位置を確認しておいてください。
ちなみに電車で45時間かかります。それくらい離れています。
本当のダージリンってどんなところ?
将来はダージリンティーになる葉
ダージリンが舞台になっている映画「バルフィ」のMVがこちら。
こちらが、ほぼ、正しいダージリンのイメージです。
映画のように電車の屋根にカップルで乗るとかはできませんが、可愛い列車、時計台、綺麗な緑の茶畑、山々、子供達の親近感のわく顔つきなど、こちらこそがダージリンです。
私がダージリンを旅して感じたおすすめポイントはこちらです。
①インドなのに暑くない!
標高2100メートルで、植民地時代のイギリス人や、金持ちインド人の避暑地と言われてるだけあって涼しい!
私が行った5月は、下界(コルカタから上がりました)の気温が42度くらい。それがたった一晩の移動で気温12度の世界へ脱出できたのです。インドの長期滞在で着回していたペラペラの服をすべて重ねて着てもまだ寒く、ダージリンに着いてすぐに、ニットの靴下、ニット帽、ストールを買いました。ガタガタ震えるほどでもなく、日が出ていたら、ちょうどいいような気温。
この、一晩で気温が30度下がる経験は、思った以上に衝撃でした。
それ以来、私の体には、気温12度が分かる能力が生まれました。
常にあの時のダージリン気温が体にインプットされ、大阪を歩いてても今日は12度やなと分かります。嘘のような本当の話です。
何が言いたいかというと、ダージリンは、インドの暑さ(インド人の暑苦しさも含め)が嫌になったら、一晩で快適な別世界に飛び込めるという夢のような世界だということ。(ダージリンの人々は客引きなどしつこくありませんでした。そういう意味でも快適)
②トイトレインが可愛い!
映画「ダージリン急行」のものとは違って、ダージリンには世界に誇る列車があります。
その名もトイトレイン。ダージリン・ヒマラヤ鉄道といって世界遺産になっている蒸気機関車です。
名前の通り、おもちゃみたいにかわいい。これで標高2100メートルのダージリンまで人を乗せて引っ張り走るんやから凄い。
でも速度が安定しておらず、私が乗った時は、普通に徒歩の人に抜かされました。
ええねん、ええねん、急がなくて。
↑窓からずっと顔を出してると石炭で黒くなるよ
↑列車の中
線路、細っ!
ポッポー!という音を聞きながら、ヒマラヤやお茶畑を見ながらのんびりできるなら何時間かかってもいいや、と思いました。
JOY RIDEという観光客向けに、ダージリンとグーム間を2時間ほどかけて往復するコースがおすすめ。
グームでは、民族衣装を着たビジネス民族の子供たちがお出迎え。
ディーゼルと蒸気機関車と2パターン運行しています。詳しい情報はこちらのオフィシャルサイトからどうぞ→Travel Information
③ダージリンティーの奥深さ!
コーヒーアレルギーな私ですが、紅茶は大好き。インドで毎日チャイ(ミルクティー)を飲んでいましたが、
ダージリンでダージリンティーを飲むんや!
という野望を叶えるべくやって来たダージリン。 しかし、ダージリンティーと言っても種類が色々あり過ぎてビックリ。ダージリンに来て、現地の人に色々教えてもらいました。
①ファーストフラッシュ(収穫3〜4月)
緑色の茶葉。渋みあり。
②セカンドフラッシュ(収穫6〜7月)
マスカットフレーバー!(マスカットのような香り) 風味、味、香り、全部パーフェクト。高価。
③オータムナル(収穫は秋)
風味豊か。ミルクティーでもいける。
時期的に(あと値段的にも)、ファーストフラッシュばかり飲んでましたが、
とにもかくにも、ダージリンでダージリンティー。美味しかったです。
何ヶ月もスパイス入りのチャイばかりだったので、シンプルなストレートティーが寒い夜に沁みます。
チベタンブレッドにピッタリでした。
そうそう、カレーに飽きた頃のチベタンフードやネパール料理が胃に優しく広がります。
↑モモもヘビーローテーションで食べました。
別の機会にセカンドフラッシュを飲んだことがありますが、噂通り、何となくマスカット感ありました。 (※現在の問題に関しては後述)
④ヒマラヤを拝める!
ネパールやブータンに囲まれたヒマラヤに近い地域。
晴れていれば、エベレストやカンチェンジェンガ(世界3)などのヒマラヤ山脈が見えます。恐ろしく高い雪山に囲まれていて、あそこに登ってる冒険家、いるんかな〜と思いを馳せます。どれがエベレストかはよく分からんかったけど。
チョウラスタあたりのジープ乗り場に朝4時頃に行けば、タイガーヒルに行きたい人々がたくさんいます。 乗り合いジープ(100ルピーくらいでした)で標高2600メートルくらいのタイガーヒルまで行き、そこの展望台で紅茶を飲んで日の出を待ち、カンチェンジェンガと朝日を見に行くのがオススメです。
ダージリンへの行き方
陸路でシンプルに行くなら、コルカタからニュージャルパイグリ(NJP)まで夜行列車の「ダージリン・メイル」に乗り込みます。ハウラー駅ではなくてシアルダー駅からNJPまで9時間。NJPからはトイトレインで10時間くらいかけてダージリンまで向かうのも良し、乗り合いジープで4時間くらいかけて行くのも良しです。
↑山道なので、満員の乗り合いジープもなかなかハード…
ホテルは、観光地ということでわりといいホテルもありつつ、安宿もあり。ダニや南京虫は涼しいから多分皆無。私はホテル・アリメントというところに泊まりましたが、坂の上にあって、身体的にきつかったです。なんとなく毛布が湿っているような気がしました。寒くて乾かないんやろうか。全然目をつぶれる範囲です。あと、屋上からの眺めはきれいでした。
ホテルの食堂のドーナツみたいなチベタンブレッドがめちゃめちゃおいしくて毎日はちみつをだらだらにかけて食べていました。
10年前の話なので、最近の状況等はこちらでチェックしてみてください。
とにかく、インドの暑さに消耗しかけの人には特にオススメのダージリン。
ぜひぜひダージリンティーを優雅に飲んで、「あったまるわー」と暑さを忘れる発言をしに行ってください。インドの奥深さ、幅広さを感じられるはず。
お茶畑見学のついでにしょぼい動物園も見学。
2017年のダージリンでの問題
平和でのんびりしたダージリンで2017年7月に、民族紛争から大幅なストライキが行われました。
↑ダージリンで会った子供たち
ダージリンは、ネパール系の人種(グルカ人)が多く、ネパール語を話すグルカ人の子供たちにも、学校で、ベンガル語を必須科目とさせると言い出したベンガル州政府と対立。怒ったグルカ人が、なんとダージリンの紅茶園全てでストライキを開始しました。
ダージリン紅茶園始まって以来、初の放ったらかし状態を3ヶ月近く。ついこの間の9月末にようやくストを中止。今年のセカンドフラッシュは、ダージリンのどこの紅茶畑でも収穫されなかったようで、今後の紅茶界に大打撃。有名紅茶専門店のルピシアにも影響があるようです。早く手入れして、茶畑が元に戻るといいな。
今後、ダージリンティーを飲みながら、正しいダージリンを思い描いてくれる方が増えますように。