アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

【EU旅4日目】グラナダ行きのはずがマラガに緊急着陸。深夜のヴェリング航空ドタバタ劇。何だったんだ?この夜は。

こんにちは、あられ(@n0riarare)です。

昨日もグラナダの街の番組をBSで見つけて嬉しくなりました。
旅4日目はグラナダ初日!
でしたが、
グラナダに辿り着くまでの夜から朝があまりにも長過ぎたので、グラナダ初日の記憶があまりないという…。

出発前からの寝不足の日々が4日目までずっと続いていて、寝不足が続くとメンタルも乱れます。

何だったんだ、この夜は…
という記憶を蘇らせてみます。

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アルバイシンの夜

注:今回の写真は全て本文と無関係の、いい夜の写真です

ヴェリング航空はどこへ行く?

20:30発のバルセロナ発グラナダ行きのヴェリング航空。
2時間近く遅れて搭乗したものの、なかなか飛び立たない。
LCCで満席なこともあり、キツキツのシートの通路側に座り、ウトウトし始めた私。
1時間半のフライトだから起きた頃にはグラナダやな…
と思いつつ、時々薄眼を開けて、

「あれ、まだ飛び立ってないなー」
と確認しつつ、眠りに落ちて行きました。
スペイン語のアナウンスがやたらと繰り返されているのに気づいて目が覚めました。
ああ、もうすぐ着陸なのかな?

とボーッとした頭で思っていたら、しつこいくらいスペイン語のアナウンス。
スペインのLCCなので、乗客の9割くらいはスペイン人なのかな?その乗客たちが、ザワザワし始めていました。
(いや、英語のアナウンス、早よ。英語でも分かるとは限らんけど)

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アルバイシンの夜

スペイン人の「Yeah!」は信用できない

まだ寝起きモードの私ですが、アナウンスの内容が何やら良くないものだということは、スペイン人の反応を見てて分かります。
やっと、英語のアナウンスをしてくれましたが、寝起きだと全く英語が頭に入ってこない節のある私。
まるで分かりません。
何かについて謝ってはいる様子。
スペイン語のアナウンスに切り替わり、
サッカーの試合に勝ったかのように、
「Yeah〜!!!」
「ヒュー!!」

と機内で弾けるように大盛り上がり。
何だ、何だ、何事や?
ヴェリング航空に以前乗った時に、
着陸時に、無事着陸したことを祝って大勢の乗客から拍手が起こったことを体験したことがありますが、
「Yeah〜!」
は何が起こった時なのか?
全く分かりません。
アナウンスが繰り返し「Maraga 」と言っていたのは分かり、乗客の数名が

「マラガー!フゥー!」と叫んでいる。
まさか?
隣の席のスペイン人ボーイに何が起こったのかを恐々聞いてみました。
すると、あまり英語が得意ではないらしく、ゆっくり単語を繋げて説明してくれたところ、
「何か緊急事態でグラナダに降りられないから、この飛行機はマラガに着陸するらしいよ」
とのこと。
えええー!
全然「Yeah!」な事態じゃないんですけど!
150kmくらい離れてますけど!
夜中ですけど!
グラナダのホテル、昨日予約しちゃったんですけど!
なぜか、「Yeah〜!」と言っているスペインの若者たちに無性に腹が立ってくる私でした。(彼らに罪は無い)

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レティロ公園の夜

韓国人女子の恐るべきスキル

スペイン語のアナウンスは続き、通路を挟んで隣の方のイケメンスペインボーイにも聞いてみました。
「どういうこと?」
「分からないけどマラガで降ろされるみたい」
「マラガに降ろされてそのあとは?」
「多分ヴェリングが何とかしてくれると思う」
「私、グラナダに行きたいんだけど」
「ここにいる全員がそうだよ」
そりゃそうか。
「みんなそうだから安心してて大丈夫。」

それはなぜだ?まあいいけど。

イケメンにそう言われると大丈夫な気がする。


ふと気づくと、隣の隣の超ミニワンピを着た韓国人女子がものすごく下手な英語で、英語のうまくないスペイン人に必死に聞いている。

彼女も一人旅らしい。
韓国人女子と目が合ったため、
「マラガに着くらしいよ。でも航空会社が何とかしてくれると思うってさ」
と伝えてあげると、
彼女は涙をためて
「どうしよう…オーマイガッ、マラガッ」
とパニックになってしまいました。
なだめることになり、私も反対隣のイケメンに言われた通りに、
「みんなグラナダに行くからみんなでいれば何とかなるよ」
と落ち着かせました。
人がパニックになると自分は落ち着くもんです。
彼女のおかげで「何てことないよ、こんなこと」と思えるようになりました。
なぜか、韓国人女子は隣のスペイン人に頼んで席を代わり、私の横に来て
「手を握ってて」と潤んだ瞳でねだって来たので、何故か私も、しょうがないな…と握ってあげたのでした。
最後に彼女に裏切られることも知らずに。

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アルバイシンの夜

眠気と疲れと闘いながら走り回る

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別の日のマラガの夜

マラガに無事(?)着陸。
ヴェリング航空はLCCなのに、一番安いプランは荷物を預けることになっていました。(機内に持ち込む方が有料という仕組み)
なので、荷物を空港のターンテーブルからピックアップしないといけなくて、

韓国人女子も必死に

「私の荷物が出てくるまで、隣から離れないでほしい」と懇願。
大丈夫やって。
真夜中やし、ここにいるのは同じグラナダに行きたい乗客チームヴェリングしかおらんねんから。

と思いつつ、彼女の言う通りにしてあげていました。
英語の喋れるイケメンスペイン人が、
「ヴェリングのカウンターで次の動きを聞いてくる」と言うため、
「私もついていくわ」と言うと、
韓国人女子も
「私も離れない」
と私の腕をガッシリ組んできます。
正直に言うと、
面倒クセーな…
と思ったのですが、凄い力で腕を絡ませているので、もう一心同体。
イケメンスペイン人がスペイン語でヴェリングの人に聞いて、それから私に英語で説明。
「全員が荷物をピックアップしたら、バス乗り場に集合らしいよ。ヴェリングがバスを用意するからみんなでそれに乗ってグラナダに向かうって」とのこと。
韓国人女子が「何て?!」と私の腕を引っ張り、
私がゆっくりと英語で説明。
それから韓国人女子が
「この人だけの情報だと信用できないから違う人にも聞いて!」と私に指示。
「いや、大丈夫やって!」
「お願い!」
もう大忙し。


こういう時にリーダーシップを取れるイケメンについておけば、間違いないんだから、私の経験上。
ロストだってウォーキング・デッドだってそうやから。(間違いはよく犯してるけども助けてはもらえる)
しかもイケメンは目立つから見失うこともないし、
リーダーシップとるイケメン側も哀れなアジア人を見捨てないもんなんやから。
なんてことを説明できる余力もなく、
バス乗り場に移動しようとするおばさんたちについて行った方がいいよと韓国人女子に引っ張られ、そっちに行くことになりました。
イケメンはヴェリングのカウンター前にもう少しいるわと言い、
ああ、絶対そっちの方がいろんな意味で正解やのにな…と思いつつ、
おばさんグループとバス乗り場へ。
すると、おばさんたちは、マラガに泊まることにした人たちで、マラガ市内に出るバスに乗ることが判明。
航空会社のバスはここじゃないわよって。
ほら見ろ!!!
イケメンが正解やないか!
また15分くらいかけて大急ぎで空港内に戻り、ヴェリングのカウンターのイケメンのところへ無事戻りました。
私たちが戻って来たのをちゃんと確認したイケメンは、彼を筆頭にヴェリングの用意したバス乗り場へ向かうことになりました。
ほらな、イケメンヒーローは見捨てないんだよ。
イケメンへの信頼がまた強まりました。
韓国人女子はというと、韓国人のおばさん2人組を発見し、泣きながら韓国語でおしゃべりしています。
私の腕はようやく解放されました。
一方、私は、メキシコから来た家族と歩きながら、メキシコ娘は「アルハンブラ宮殿の予約も明日だし、旅行日数も少ないのにこんな目にあって、後日絶対にクレームの電話をするわ。」とご立腹。
「それにしても、スペイン人ていう人種はどうなってんの?誰も怒ってないし。」と私と同意見。

本当に見る限り、誰も怒っていない。

不思議な人種や。
バス乗り場ではチームヴェリングが長蛇の列。
なぜか少し前の列のおばさんを囲んで、見知らぬスペインの人たちが急に「ハッピーバースデー」の歌をスペイン語バージョンで大合唱。
日付も変わって誕生日になったことを思い出したんでしょう。

全然ハッピーな誕生日じゃないと思うけど。
メキシコ娘と「よくこんな事態の中、こんな深夜に知らない人の誕生日祝って歌う気になるよね」と話して笑っていました。
韓国人女子から解放されて、バスも乗れそうだし、やっと安心できた瞬間でした。
その頃、すぐ後ろで韓国人女子は、韓国人おばさんの腕をホールドオンしていたのでした…

「お医者様はいませんか?」スペインバージョン

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チームヴェリング(グラナダ行きの便に乗り合わせた乗客を心の中でそう呼び出した私)をグラナダまで連れて行ってくれるというバスに乗るために、長蛇の列になって並んでいたのですが、前方で女性が倒れ込んでしまったようで、
(私も倒れそうなくらい眠気と疲れに襲われていた)
「メディコー!(スペイン語で医者という意味)」
と隣の人が叫びました。
すると、すぐ後ろの列の人が
「メディコー!」とその後ろに伝えて、またその後ろに伝える言葉のバケツリレーの開始。
後列の男性が10人くらいが猛ダッシュで、
医者を呼びに
「メディコー」と言いながら走って行きます。
もう口々に「メディコ」
みんな一丸となって倒れた人に声をかけたり、楽な姿勢に変えてあげたり、メディコ探しをしたり。
相撲協会も見習えよと思う連携プレー。
凄いなスペイン人。
凄いなチームヴェリング。
医者らしき人も走ってきて、すぐさま救急車も来ました。
無事、運ばれた時にも
「Yeah〜!」と拍手。
スペイン人のこういうところ、いいよな。
ラテンやわ。
陽気な国民やなと感心すら覚えました。

バスに乗れたけど眠れず

そんなメディコ騒動の中、
何故か後ろにいた韓国人女子がいない。
気づくと最前列に割り込んでいて、自分だけとっとと1台目のバスに乗り込んでいました。
私を見限って、バスの車内から私を見下ろす韓国人女子。
映画タイタニックや、映画ミストのラストシーンを思い出させるようなワンシーン。 1台目のバスは、彼女を乗せて、メディコ騒動の人たちを置いて出発していきました。
くそー、あの女ー!!

これは、やってること、あまりにもクソ過ぎないか?
と思いましたが、イケメンヒーローが、
「1台目のバスはグラナダ空港に行くだけ。
空港で朝になるのを待たないといけないし、
2台目はグラナダの街まで運んでくれるらしいから、2台目に乗る方が正解だよ」
と教えてくれました。
さすがイケメン。

あの韓国人女子、きっと言葉がわからないまま乗り込んだんやな。残念でしたー。
2台目のバスが来るまで更に待ちましたが、

バスにさえ乗れれば眠れる、

グラナダのホテルに辿り着ける、

という希望が見えました。
いよいよ、2,3台目のバスが到着。
3時間程度かけてグラナダに向かいます。
寝るぞ!寝るぞ!
バスに乗り込み、アイマスクをして瞼を閉じます。
発車!
ジャンガ、ジャンガ、ジャンガ、ジャンガ…
何でや?深夜2時の長距離バスで、
疲れ切ったチームヴェリングのメンバーを乗せているのに、何で爆音でポップなBGMをかけるんや?!
眠らせてくれー!!
音楽を止めてくれ!
耳栓では凌げない爆音。

流石のスペイン人も、誰一人として「Yeah!」と言わない時間帯に突入。
地獄の時間が始まりました。

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この写真だけ例外。地獄バスの天井の写真

雨の中、4時に見知らぬ場所で

とはいえ疲れと眠気の方が勝って、少しウトウト眠れ、4時頃。
バスが止まり、みんなが降ろされ、バスは去って行きました。
どこや、ここ?
新市街地のバス停らしく、ホテルがある旧市街地まで8km。
雨が急に降り出して寒い。
8kmかぁー。
レインジャケットをリュックから出しながら、もう歩く気力は1ミリも残ってないことを痛感。

こんな時間に土砂降りの中、屋根のない、ホテルもない、真っ暗な場所に、

よくこの人数置き去りにできるよな!全く。


どうする?イケメン?
助けて、イケメン!


すると、各々がタクシーを電話で呼んだりしている。

続々と来るタクシーを奪い合うように乗り込んでいく新たな夜明け前の闘いが始まりました。
どうやったってスペイン語の話せる人たちには負けてしまうよ私。
タクシーが来て運転手に行き先を伝えるまでに、スッと横から奪われて行き、
「そっち方面なら乗せてくれ!」と更に何人かが現れて相乗りして消えていく。
勝ち目はない。
なんと、なんと、

あのイケメンヒーローも疲れたのか、男5人くらいでサッサとタクシーに乗り込んでいました。
いよいよ見捨てられたアジア人。
ここからは自分の力で切り抜けなければ!

頼ってばかりじゃ韓国女と一緒じゃないか。
イケメンヒーローだって最後は自分がかわいいんだ。
どうする?どうする?
状況を考えて、とある作戦に出ます。
スペイン人のおば様の重そうな荷物を持ってあげながら、タクシーに荷物を積んであげつつ、「私も一緒に乗っていい?」と頼む。

名付けて「親切と見せかけて」作戦。
何と、いとも簡単に成功!
何とかタクシーに乗って、おば様のおごりで、
ホテルの前までタクシーで行ってもらえる幸運をGETできました。

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奇跡的に適当に空向けて撮ったら写った北斗七星。見える?

悪夢のような闘いを終えても、眠れぬまま朝を迎える

ホテルの扉をiPhoneで照らしながら、メールで指示された通りの番号を押して、そっとホテルの入り口を開けました。
そこは、24時間対応フロントではなかったため、寝静まっていて、テーブルに私の名前と部屋番号とベッド番号の書いた紙と鍵を発見。
忍び足で4人部屋のドミトリーに入り、2段ベットの上にそーっと登りました。
もう、全く動けないくらい疲れ切っていた私。
やっと眠れる…。
午前5時前。
目を閉じました。
何だったんだ…ヴェリングの悪夢…。
バルセロナ空港から11時間経過か…。
とりあえず寝てしまおう。…。

何でや?神様?
ビジネスクラスに乗った罰ですか?(違う)
ブゴー、ブゴー、ブゴー。
地響きくらいの爆音のいびきが真下から聞こえるじゃないか。
まだまだ眠らせてもらえそうにありません。
何てこった…。もう朝だよ…。

次はドミトリーはやめて、

絶対に絶対に個室に泊まる!
そう決意した午前5時。
チュンチュンと鳥が鳴くグラナダの早朝でした。

続く

 

 

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